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安価な2.5インチSSD 1TBの5製品、Crucial BX500、ADATA SU650、WD Blue SA510、Apacer AS350X、KIOXIA CK960Sを比較検討した話(TV録画用SSD)

こんにちは。今回は「安価な2.5インチSSD 1TBの5製品」を比較した話です。

はじめに

先日、「シャープのGoogle TV(AQUOS 2T-C32GF1)に、東芝の2.5インチHDD 2TBを入れた外付けHDDを接続したところ、しっかり認識され、録画・再生ができた」という記事を書きました。

シャープ AQUOS 2T-C32GF1

実際に使用しているのは娘なのですが、特に問題なく録画できているようです。

ただ、ひとつだけ娘から相談がありました。

テレビのある部屋で寝ているのですが、2.5インチHDDを接続していると、夜中に「カリカリ音」がして気になって眠れないとのこと。

そこで、「何とかならないか」と相談されたのです。

2.5インチHDDの動作音でも眠れないとなると……もう、これはSSDに交換するしかありません。

実際、「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年モデル)」で動作確認が取れているSSDは、「BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA」くらいしか見当たりません。

BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA

ただ、個人的には発熱のことを考えると、「2.5インチSSD 1TB」を外付けSSDケースに入れて設置する方が、テレビを故障するまで10年近く使い続ける予定であることを踏まえると、録画も安定して行えるのではないかと思いました。

そこで、外付けSSDケースには、AQUOSで動作確認の実績がある「玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3」を使用し、その中に入れる「2.5インチSSD 1TB」を探すことにしました。

玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3

 

 

選定した2.5インチSSD 1TBは5種類

選定した製品はこちらの5種類です。

Crucial BX500 CT1000BX500SSD1

ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R

WD Blue SA510 SATA WDS100T3B0A

Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1

KIOXIA EXCERIA SSD-CK960S

2025年9月現在、とにかく価格が安い「2.5インチSSD 1TB」を選定しました。そのため、私の大好きなSamsungは今回は除外しています。

これらの性能を比較し、「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に取り付ける録画用SSDを決定しようと思います。

 

 

Apacerとは?

今回選定した5製品のうち、「Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1」を販売しているApacerというメーカーについて、あまり馴染みがなかったため、少し調べてみました。

Apacer(アペイサー)は、台湾に本社を置くストレージおよびメモリ製品の専門メーカーです。1997年に設立され、もともとはAcerグループの一部として誕生しましたが、現在は独立した企業として活動しています。

日本法人は「アペイサーテクノロジー株式会社(東京都港区)」です。

Apacerの主な製品ラインアップは以下の通りです。
・SSD:高速かつ低価格なSATAタイプが中心。最大4TBまでの容量展開
・DRAMモジュール:PC用メモリの増設に対応
・USBメモリ・microSDカード:個人向けから産業用まで幅広く展開
・産業用ストレージ:過酷な環境でも耐えるCFカードやSSDなど

■特徴と評判
・コストパフォーマンスに優れた製品が多く、古いPCのアップグレード用途で人気
・自社製造拠点を持ち、品質管理にも注力
・SSDユーティリティソフトも提供しており、ドライブの状態監視が可能

ADATA(2001年5月設立)よりも設立は早いですが、知名度ではADATAの方が上ですね。

ちなみにADATAは、現在ではDRAMモジュールとSSDの分野で世界トップクラスのシェア(小売ベース)を誇る企業です。DRAMもSSDも世界第2位の販売シェア(1位はキングストン)となっています。

 

 

5種類の製品を比較する

ざっと5製品を比較してみました。

製品名 容量 読込速度(最大) 書込速度(最大) NANDタイプ 保証期間 特徴・備考
Crucial BX500 CT1000BX500SSD1 1TB 約540MB/s 約500MB/s TLC 3年 安定性と信頼性に定評。Micron製NAND採用。
ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R 1TB 約520MB/s 約450MB/s QLC 3年 コスパ重視。ライト性能はやや控えめ。
WD Blue SA510 WDS100T3B0A 1TB 約545MB/s 約430MB/s TLC 5年 Western Digital製。長期保証とソフト付属。
Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1 1TB 約560MB/s 約540MB/s 3D NAND(詳細非公開) 3年 実売価格が安く、静音性・発熱も控えめ。
KIOXIA EXCERIA SSD-CK960S/N 960GB 約555MB/s 約540MB/s BiCS TLC 3年 東芝系ブランド。日本市場向けに安定供給。

■補足ポイント
・BX500:Micron傘下のCrucial製。信頼性と安定性が高く、ファームウェアも堅実
・SU650:QLC採用のため、書き込み頻度が高い用途にはやや不向き。価格重視なら選択肢に
・WD Blue SA510:Western Digitalの定番モデル。5年保証は安心材料
・Apacer AS350X:静音性とコスパを重視する方に好相性。発熱も少なく、寝室用途にも◎
・KIOXIA EXCERIA:BiCS TLC採用で、国内サポートも安定。960GBという微妙な容量が価格に反映されることも

 

 

5種類の製品のTBWを比較する

TBW(Total Bytes Written=最大書き込み可能容量)を比較し、耐久性と信頼性を確認しました。

製品名 容量 TBW NANDタイプ 備考
Crucial BX500 1TB 360TBW TLC 安定性重視
ADATA SU650 1TB 560TBW 3D NAND(QLC系) コスパ良好
WD Blue SA510 1TB 400TBW TLC 保証5年
Apacer AS350X 1TB 600TBW 3D NAND 静音・高耐久
KIOXIA EXCERIA 960GB 240TBW BiCS TLC 国内サポート◎

ADATA SU650とApacer AS350XのTBWが魅力的です。

ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R

Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1

シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」が故障するまで使う予定なので、10年近く使う可能性もあります。

そのため、個人的にはTBWを最重視したいと考えています。

ちなみに、BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA」はTBWが公表されていません。

 

 

TLCと3D NANDの違いは?

先ほどの表に「NANDタイプ」として「TLC」と「3D NAND」が記載されていました。気になったので、改めて確認してみました。

■用語の違い:TLC vs 3D NAND

用語 意味 何を表しているか 影響する性能
TLC(Triple-Level Cell) 1セルに3ビットのデータを記録 記録方式(セルあたりのビット数) 耐久性・速度
3D NAND セルを縦方向に積層して高密度化 構造方式(セルの配置方法) 容量・コスト・発熱

★TLC(Triple-Level Cell)
・1つのセルに3ビットの情報を記録
SLC(1ビット)→ MLC(2ビット)→ TLC(3ビット)→ QLC(4ビット)と進化
・メリット:コストが安く、容量が多い
・デメリット:書き込み速度や耐久性がやや劣る
・使用例:一般的な家庭用SSDやノートPC向け

★3D NAND
・従来の「平面(2D)」配置ではなく、セルを縦に積み重ねる構造
・層数が多いほど容量アップ(例:96層、144層、200層など)
・メリット:高密度・低コスト・省スペース
・デメリット:層が増えると発熱や制御が複雑になる
・使用例:ほぼすべての最新SSD(TLC/QLC問わず)

実際のSSDではどう使われているか?

SSD製品では、これら2つの技術を組み合わせて使うのが一般的です。
・3D TLC NAND:現在の主流。コストと性能のバランスが良く、家庭用から業務用まで幅広く採用
・3D QLC NAND:さらに安価で大容量だが、耐久性は低め。書き込み頻度が少ない用途向け

つまり、「TLCかQLCか」は主に耐久性や静音性、発熱に影響し、「3D NANDかどうか」は容量や価格に関わる技術です。

録画用途や長期運用を考える場合は、TLCの方が安心感があり、3D NANDとの組み合わせでコストパフォーマンスも高まります。

 

 

ADATA SU650とApacer AS350Xを比較する

TBWが高いADATA SU650とApacer AS350Xを、より詳しく比較してみました。

■ADATA SU650 vs Apacer AS350X 詳細比較(1TBモデル)

項目 ADATA SU650 Apacer AS350X
容量 1TB 1TB
TBW(総書込容量) 560TBW 600TBW
読込速度(最大) 約520MB/s 約560MB/s
書込速度(最大) 約450MB/s 約540MB/s
NANDタイプ 3D TLC NAND 3D TLC NAND
コントローラー Silicon Motion SM2258XT Silicon Motion SM2259XT
保証期間 3年 3年
MTBF(平均故障時間) 約2百万時間 約1.5百万時間
耐衝撃性 1500G 1500G
消費電力(アイドル時) 約0.5W 約0.3W(静音性◎)
サイズ・厚み 100×70×10mm 100×70×7mm
重量 約48g 約48g
特徴 コスパ重視。SLCキャッシュ搭載 高速・静音・発熱少なめ。録画向き

■ポイント
・Apacer AS350XはTBWがやや高く、速度・静音性・発熱の少なさが魅力。録画やバックアップ用途に最適です。
・ADATA SU650もTBWは十分で、価格重視なら有力候補。SLCキャッシュにより短時間の書き込みは高速です。

 

 

Silicon Motion SM2258XTとSM2259XTの違いは?

SM2258XTとSM2259XTは、どちらもSilicon Motion社製のDRAMレスSATA SSDコントローラーですが、世代や性能に明確な違いがあります。

■SM2258XT vs SM2259XT 比較表

項目 SM2258XT SM2259XT
世代 第1世代 DRAMレス 第2世代 DRAMレス
NAND対応 3D TLC / QLC 3D TLC / QLC(ONFI 4.0対応)
チャンネル数 4チャンネル 2チャンネル(高効率設計)
最大読込速度 約560MB/s 約560MB/s
最大書込速度 約520MB/s 約520MB/s
ECC技術 LDPC ECC(基本) NANDXtend® ECC(強化版)
RAID機能 なし RAIDベースのエラー訂正あり
消費電力 標準 超低消費電力設計(ノートPC向け)
対応NANDインターフェース Toggle 2.0 / ONFI 3.x Toggle 2.0 / ONFI 4.0
発熱 やや高め 低発熱設計(静音性◎)
主な搭載製品 ADATA SU650など Apacer AS350Xなど

SM2259XTは、Silicon Motion独自のNANDXtend ECC技術を搭載しており、TLCやQLC NANDの耐久性と信頼性を強化しています。

■ポイント
・SM2259XTは新世代で、静音性・発熱・耐久性に優れた設計。録画用途や寝室設置に理想的です。
・SM2258XTは安定性はあるものの、ECCや省電力面ではやや旧世代。価格重視なら選択肢になります。

Apacer AS350XがSM2259XTを採用している点は、静音性・信頼性・長期運用を重視するユーザーに向けた設計であることがよく分かります。

 

 

MTBF(平均故障時間)の違いは?

SSDのMTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)は、製品の信頼性を数値化した指標で、「故障と故障の間に平均してどれくらいの時間正常に動作するか」を示します。

■MTBFの基本理解
・MTBFが長いほど、故障しにくい=信頼性が高い
・例:MTBFが200万時間 → 理論上、200万時間に1回の故障
・実際には「複数台を同時に運用した統計的な平均値」であり、個体寿命とは異なる点に注意が必要

■ADATA SU650(200万時間) vs Apacer AS350X(150万時間)の違い

製品 MTBF 意味合い 実用上の影響
ADATA SU650 約2,000,000時間 より長い平均稼働時間 統計上、故障率が低め
Apacer AS350X 約1,500,000時間 やや短めの平均稼働時間 実用上は大差ないが、信頼性指標としては劣る

■注意点
・MTBFは「寿命」ではなく「故障率の統計的目安」です。1台のSSDが200万時間動作するわけではありません。
・実際の寿命はTBW(書き込み耐性)や使用環境(温度・通電時間)に大きく左右されます。
・MTBFが高くても、電源品質・振動・熱管理が悪いと故障リスクは上がります。

■実用的な見方
・録画用途やバックアップ用途では、TBWの方が重要です。600TBWあれば、MTBFが150万時間でも実用上は十分です。
・MTBFの差は「企業向けの信頼性評価」では意味がありますが、家庭用・静音環境ではTBWと発熱の方が優先度は高めです。

 

 

まとめ

シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に取り付ける安価な「2.5インチSSD 1TB」を探すということで、各製品を調べてきました。

シャープ AQUOS 2T-C32GF1

使用する外付けケースはすでに決まっています。

玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3

これは、AQUOSでHDDやSSDの動作確認が取れているケースだからです。

そして、実際に使用する「2.5インチSSD 1TB」は、一度取り付けたら「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」が故障するまで、10年近く動いてほしいと考えています。

そのため、何よりもTBWを重視した結果、2つの製品に絞りました。

ADATA SU650とApacer AS350Xです。

ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R

Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1

では、どちらを選ぶか。TBWやSSDコントローラーなどの性能を比較すればするほど、「Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1」の方がスペック上は優れています。

ただ、個人的には、世界第2位の販売実績を持つADATAの「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」に決めました。

これまでADATAのSSDを使っていて、調子が悪くなったことは一度もありません。

だからこそ、なんとなく信頼できるのです。

こうした「これまでの運用実績からくる安心感」は、スペック表では測れない大切な要素だと思っています。あくまで私の主観ですが…。

ADATA SU650は、派手さはないものの堅実なSSDです。560TBWという耐久性もあり、SLCキャッシュによる短時間の書き込みも快適。SM2258XTコントローラーは旧世代ながらも安定性に定評があり、ファームウェアも枯れていてトラブルが少ない。実際に長く使ってきた方が「不安なく使える」と感じるのも納得です。

Apacer AS350Xはスペック上は優れていますが、新しいコントローラーや設計が「未知の挙動」を生む可能性もゼロではありません。その点、SU650には「分かっている安心感」があります。

録画用途で「安定して動いてくれること」が最優先なら、SU650は十分に理にかなった選択だと思います。しかも価格も抑えられていて、コストパフォーマンスも良好です。

もし今後、録画容量が増えてTBWを使い切る心配が出てきたら、そのときにAS350XやWD Blue SA510などに切り替えるのも一つの方法です。ただ今回は、「信頼できる相棒」を選ぶのが良いと判断し、「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」に決めました。

次回は、実際に「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」を取り付けた話を書きたいと思います。

ということで、「安価な2.5インチSSD 1TBの5製品、Crucial BX500、ADATA SU650、WD Blue SA510、Apacer AS350X、KIOXIA CK960Sを比較検討した話(TV録画用SSD)」でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 今回の記事が、皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。

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