こんにちは。今回は「安価な2.5インチSSD 1TBの5製品」を比較した話です。
はじめに
先日、「シャープのGoogle TV(AQUOS 2T-C32GF1)に、東芝の2.5インチHDD 2TBを入れた外付けHDDを接続したところ、しっかり認識され、録画・再生ができた」という記事を書きました。
実際に使用しているのは娘なのですが、特に問題なく録画できているようです。
ただ、ひとつだけ娘から相談がありました。
テレビのある部屋で寝ているのですが、2.5インチHDDを接続していると、夜中に「カリカリ音」がして気になって眠れないとのこと。
そこで、「何とかならないか」と相談されたのです。
2.5インチHDDの動作音でも眠れないとなると……もう、これはSSDに交換するしかありません。
実際、「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年モデル)」で動作確認が取れているSSDは、「BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA」くらいしか見当たりません。
BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA
ただ、個人的には発熱のことを考えると、「2.5インチSSD 1TB」を外付けSSDケースに入れて設置する方が、テレビを故障するまで10年近く使い続ける予定であることを踏まえると、録画も安定して行えるのではないかと思いました。
そこで、外付けSSDケースには、AQUOSで動作確認の実績がある「玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3」を使用し、その中に入れる「2.5インチSSD 1TB」を探すことにしました。
玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3
選定した2.5インチSSD 1TBは5種類
選定した製品はこちらの5種類です。
WD Blue SA510 SATA WDS100T3B0A
2025年9月現在、とにかく価格が安い「2.5インチSSD 1TB」を選定しました。そのため、私の大好きなSamsungは今回は除外しています。
これらの性能を比較し、「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に取り付ける録画用SSDを決定しようと思います。
Apacerとは?
今回選定した5製品のうち、「Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1」を販売しているApacerというメーカーについて、あまり馴染みがなかったため、少し調べてみました。
Apacer(アペイサー)は、台湾に本社を置くストレージおよびメモリ製品の専門メーカーです。1997年に設立され、もともとはAcerグループの一部として誕生しましたが、現在は独立した企業として活動しています。
日本法人は「アペイサーテクノロジー株式会社(東京都港区)」です。
Apacerの主な製品ラインアップは以下の通りです。
・SSD:高速かつ低価格なSATAタイプが中心。最大4TBまでの容量展開
・DRAMモジュール:PC用メモリの増設に対応
・USBメモリ・microSDカード:個人向けから産業用まで幅広く展開
・産業用ストレージ:過酷な環境でも耐えるCFカードやSSDなど
■特徴と評判
・コストパフォーマンスに優れた製品が多く、古いPCのアップグレード用途で人気
・自社製造拠点を持ち、品質管理にも注力
・SSDユーティリティソフトも提供しており、ドライブの状態監視が可能
ADATA(2001年5月設立)よりも設立は早いですが、知名度ではADATAの方が上ですね。
ちなみにADATAは、現在ではDRAMモジュールとSSDの分野で世界トップクラスのシェア(小売ベース)を誇る企業です。DRAMもSSDも世界第2位の販売シェア(1位はキングストン)となっています。
5種類の製品を比較する
ざっと5製品を比較してみました。
製品名 | 容量 | 読込速度(最大) | 書込速度(最大) | NANDタイプ | 保証期間 | 特徴・備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Crucial BX500 CT1000BX500SSD1 | 1TB | 約540MB/s | 約500MB/s | TLC | 3年 | 安定性と信頼性に定評。Micron製NAND採用。 |
ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R | 1TB | 約520MB/s | 約450MB/s | QLC | 3年 | コスパ重視。ライト性能はやや控えめ。 |
WD Blue SA510 WDS100T3B0A | 1TB | 約545MB/s | 約430MB/s | TLC | 5年 | Western Digital製。長期保証とソフト付属。 |
Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1 | 1TB | 約560MB/s | 約540MB/s | 3D NAND(詳細非公開) | 3年 | 実売価格が安く、静音性・発熱も控えめ。 |
KIOXIA EXCERIA SSD-CK960S/N | 960GB | 約555MB/s | 約540MB/s | BiCS TLC | 3年 | 東芝系ブランド。日本市場向けに安定供給。 |
■補足ポイント
・BX500:Micron傘下のCrucial製。信頼性と安定性が高く、ファームウェアも堅実
・SU650:QLC採用のため、書き込み頻度が高い用途にはやや不向き。価格重視なら選択肢に
・WD Blue SA510:Western Digitalの定番モデル。5年保証は安心材料
・Apacer AS350X:静音性とコスパを重視する方に好相性。発熱も少なく、寝室用途にも◎
・KIOXIA EXCERIA:BiCS TLC採用で、国内サポートも安定。960GBという微妙な容量が価格に反映されることも
5種類の製品のTBWを比較する
TBW(Total Bytes Written=最大書き込み可能容量)を比較し、耐久性と信頼性を確認しました。
製品名 | 容量 | TBW | NANDタイプ | 備考 |
---|---|---|---|---|
Crucial BX500 | 1TB | 360TBW | TLC | 安定性重視 |
ADATA SU650 | 1TB | 560TBW | 3D NAND(QLC系) | コスパ良好 |
WD Blue SA510 | 1TB | 400TBW | TLC | 保証5年 |
Apacer AS350X | 1TB | 600TBW | 3D NAND | 静音・高耐久 |
KIOXIA EXCERIA | 960GB | 240TBW | BiCS TLC | 国内サポート◎ |
ADATA SU650とApacer AS350XのTBWが魅力的です。
「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」が故障するまで使う予定なので、10年近く使う可能性もあります。
そのため、個人的にはTBWを最重視したいと考えています。
ちなみに、「BUFFALO 外付けSSD 1.0TB SSD-PUT1.0U3-BKA」はTBWが公表されていません。
TLCと3D NANDの違いは?
先ほどの表に「NANDタイプ」として「TLC」と「3D NAND」が記載されていました。気になったので、改めて確認してみました。
■用語の違い:TLC vs 3D NAND
用語 | 意味 | 何を表しているか | 影響する性能 |
---|---|---|---|
TLC(Triple-Level Cell) | 1セルに3ビットのデータを記録 | 記録方式(セルあたりのビット数) | 耐久性・速度 |
3D NAND | セルを縦方向に積層して高密度化 | 構造方式(セルの配置方法) | 容量・コスト・発熱 |
★TLC(Triple-Level Cell)
・1つのセルに3ビットの情報を記録
・SLC(1ビット)→ MLC(2ビット)→ TLC(3ビット)→ QLC(4ビット)と進化
・メリット:コストが安く、容量が多い
・デメリット:書き込み速度や耐久性がやや劣る
・使用例:一般的な家庭用SSDやノートPC向け
★3D NAND
・従来の「平面(2D)」配置ではなく、セルを縦に積み重ねる構造
・層数が多いほど容量アップ(例:96層、144層、200層など)
・メリット:高密度・低コスト・省スペース
・デメリット:層が増えると発熱や制御が複雑になる
・使用例:ほぼすべての最新SSD(TLC/QLC問わず)
実際のSSDではどう使われているか?
SSD製品では、これら2つの技術を組み合わせて使うのが一般的です。
・3D TLC NAND:現在の主流。コストと性能のバランスが良く、家庭用から業務用まで幅広く採用
・3D QLC NAND:さらに安価で大容量だが、耐久性は低め。書き込み頻度が少ない用途向け
つまり、「TLCかQLCか」は主に耐久性や静音性、発熱に影響し、「3D NANDかどうか」は容量や価格に関わる技術です。
録画用途や長期運用を考える場合は、TLCの方が安心感があり、3D NANDとの組み合わせでコストパフォーマンスも高まります。
ADATA SU650とApacer AS350Xを比較する
TBWが高いADATA SU650とApacer AS350Xを、より詳しく比較してみました。
■ADATA SU650 vs Apacer AS350X 詳細比較(1TBモデル)
項目 | ADATA SU650 | Apacer AS350X |
---|---|---|
容量 | 1TB | 1TB |
TBW(総書込容量) | 560TBW | 600TBW |
読込速度(最大) | 約520MB/s | 約560MB/s |
書込速度(最大) | 約450MB/s | 約540MB/s |
NANDタイプ | 3D TLC NAND | 3D TLC NAND |
コントローラー | Silicon Motion SM2258XT | Silicon Motion SM2259XT |
保証期間 | 3年 | 3年 |
MTBF(平均故障時間) | 約2百万時間 | 約1.5百万時間 |
耐衝撃性 | 1500G | 1500G |
消費電力(アイドル時) | 約0.5W | 約0.3W(静音性◎) |
サイズ・厚み | 100×70×10mm | 100×70×7mm |
重量 | 約48g | 約48g |
特徴 | コスパ重視。SLCキャッシュ搭載 | 高速・静音・発熱少なめ。録画向き |
■ポイント
・Apacer AS350XはTBWがやや高く、速度・静音性・発熱の少なさが魅力。録画やバックアップ用途に最適です。
・ADATA SU650もTBWは十分で、価格重視なら有力候補。SLCキャッシュにより短時間の書き込みは高速です。
Silicon Motion SM2258XTとSM2259XTの違いは?
SM2258XTとSM2259XTは、どちらもSilicon Motion社製のDRAMレスSATA SSDコントローラーですが、世代や性能に明確な違いがあります。
■SM2258XT vs SM2259XT 比較表
項目 | SM2258XT | SM2259XT |
---|---|---|
世代 | 第1世代 DRAMレス | 第2世代 DRAMレス |
NAND対応 | 3D TLC / QLC | 3D TLC / QLC(ONFI 4.0対応) |
チャンネル数 | 4チャンネル | 2チャンネル(高効率設計) |
最大読込速度 | 約560MB/s | 約560MB/s |
最大書込速度 | 約520MB/s | 約520MB/s |
ECC技術 | LDPC ECC(基本) | NANDXtend® ECC(強化版) |
RAID機能 | なし | RAIDベースのエラー訂正あり |
消費電力 | 標準 | 超低消費電力設計(ノートPC向け) |
対応NANDインターフェース | Toggle 2.0 / ONFI 3.x | Toggle 2.0 / ONFI 4.0 |
発熱 | やや高め | 低発熱設計(静音性◎) |
主な搭載製品 | ADATA SU650など | Apacer AS350Xなど |
SM2259XTは、Silicon Motion独自のNANDXtend ECC技術を搭載しており、TLCやQLC NANDの耐久性と信頼性を強化しています。
■ポイント
・SM2259XTは新世代で、静音性・発熱・耐久性に優れた設計。録画用途や寝室設置に理想的です。
・SM2258XTは安定性はあるものの、ECCや省電力面ではやや旧世代。価格重視なら選択肢になります。
Apacer AS350XがSM2259XTを採用している点は、静音性・信頼性・長期運用を重視するユーザーに向けた設計であることがよく分かります。
MTBF(平均故障時間)の違いは?
SSDのMTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)は、製品の信頼性を数値化した指標で、「故障と故障の間に平均してどれくらいの時間正常に動作するか」を示します。
■MTBFの基本理解
・MTBFが長いほど、故障しにくい=信頼性が高い
・例:MTBFが200万時間 → 理論上、200万時間に1回の故障
・実際には「複数台を同時に運用した統計的な平均値」であり、個体寿命とは異なる点に注意が必要
■ADATA SU650(200万時間) vs Apacer AS350X(150万時間)の違い
製品 | MTBF | 意味合い | 実用上の影響 |
---|---|---|---|
ADATA SU650 | 約2,000,000時間 | より長い平均稼働時間 | 統計上、故障率が低め |
Apacer AS350X | 約1,500,000時間 | やや短めの平均稼働時間 | 実用上は大差ないが、信頼性指標としては劣る |
■注意点
・MTBFは「寿命」ではなく「故障率の統計的目安」です。1台のSSDが200万時間動作するわけではありません。
・実際の寿命はTBW(書き込み耐性)や使用環境(温度・通電時間)に大きく左右されます。
・MTBFが高くても、電源品質・振動・熱管理が悪いと故障リスクは上がります。
■実用的な見方
・録画用途やバックアップ用途では、TBWの方が重要です。600TBWあれば、MTBFが150万時間でも実用上は十分です。
・MTBFの差は「企業向けの信頼性評価」では意味がありますが、家庭用・静音環境ではTBWと発熱の方が優先度は高めです。
まとめ
「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に取り付ける安価な「2.5インチSSD 1TB」を探すということで、各製品を調べてきました。
使用する外付けケースはすでに決まっています。
玄人志向 2.5型 SSD/HDDケース GW2.5-KRU3
これは、AQUOSでHDDやSSDの動作確認が取れているケースだからです。
そして、実際に使用する「2.5インチSSD 1TB」は、一度取り付けたら「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」が故障するまで、10年近く動いてほしいと考えています。
そのため、何よりもTBWを重視した結果、2つの製品に絞りました。
ADATA SU650とApacer AS350Xです。
では、どちらを選ぶか。TBWやSSDコントローラーなどの性能を比較すればするほど、「Apacer AS350X AP1TBAS350XR-1」の方がスペック上は優れています。
ただ、個人的には、世界第2位の販売実績を持つADATAの「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」に決めました。
これまでADATAのSSDを使っていて、調子が悪くなったことは一度もありません。
だからこそ、なんとなく信頼できるのです。
こうした「これまでの運用実績からくる安心感」は、スペック表では測れない大切な要素だと思っています。あくまで私の主観ですが…。
ADATA SU650は、派手さはないものの堅実なSSDです。560TBWという耐久性もあり、SLCキャッシュによる短時間の書き込みも快適。SM2258XTコントローラーは旧世代ながらも安定性に定評があり、ファームウェアも枯れていてトラブルが少ない。実際に長く使ってきた方が「不安なく使える」と感じるのも納得です。
Apacer AS350Xはスペック上は優れていますが、新しいコントローラーや設計が「未知の挙動」を生む可能性もゼロではありません。その点、SU650には「分かっている安心感」があります。
録画用途で「安定して動いてくれること」が最優先なら、SU650は十分に理にかなった選択だと思います。しかも価格も抑えられていて、コストパフォーマンスも良好です。
もし今後、録画容量が増えてTBWを使い切る心配が出てきたら、そのときにAS350XやWD Blue SA510などに切り替えるのも一つの方法です。ただ今回は、「信頼できる相棒」を選ぶのが良いと判断し、「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」に決めました。
次回は、実際に「シャープ AQUOS 2T-C32GF1(2024年)」に「ADATA SU650 ASU650SS-1TT-R」を取り付けた話を書きたいと思います。
ということで、「安価な2.5インチSSD 1TBの5製品、Crucial BX500、ADATA SU650、WD Blue SA510、Apacer AS350X、KIOXIA CK960Sを比較検討した話(TV録画用SSD)」でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 今回の記事が、皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。
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