こんにちは、トトロ兄さんです。
今回は、DeskMini B860でCore Ultra 7や9などの高性能CPUを搭載する際の注意点です。
はじめに
小型で高性能なパソコン、憧れますよね。特にASRock DeskMiniシリーズは、手のひらサイズなのにデスクトップ用の強力なCPUを搭載できる魅力的なベアボーンキットです。
しかし、最新のIntel Core Ultra 9 285やUltra 7 265などを組み込んで「最強の小型PC」を作ろうとしている方、少し待ってください。
お恥ずかしい話ですが、私自身も以前、DeskMini B760とCore i5-14500の組み合わせで自作した際、何も気にせずデフォルト設定のまま使っていました。「小型PCを作れる!」というワクワク感ばかりが先行し、小型PCならではの「重大な制限」をすっかり忘れていたのです。
この記事では、最新のDeskMini B860の性能を安全に、そして最大限に引き出すための必須知識と、最適なパーツ構成について解説します。
事前にこちらの記事もチェックしてみてください。
DeskMini B860でCore Ultraを使う場合の注意点
Intel Core Ultra 9 285やUltra 7 265などの高性能CPUだけでなく、ASRock DeskMini B860にUltra 5 235やUltra 5 225のモデルを取り付けて使用する場合の注意点について説明します。
4モデルとも基本消費電力(PBP)が65Wであるため、仕様上はすべて対応しており動作します。
しかし、CPUに付属する純正クーラーを使用した「デフォルトの状態」で組む場合、物理的な干渉や性能低下の問題が発生する可能性が非常に高いです。
主な注意点は以下の3点です。
1.純正CPUクーラーの使用は推奨されません
Core UltraシリーズのBOX版に付属している純正クーラー(Intel Laminarなど)は、高さが約47mmある場合が一般的です。DeskMiniシリーズのクーラー高さ制限も「47mm」ですが、これだとケースの側板(メッシュ部分)にファンの吸気口が完全に密着してしまいます。
隙間がないため空気を吸い込むことができず、冷却不足でCPU温度がすぐに上昇します。その結果、ファンが常に全速力で回り続け、非常に大きな騒音が発生することになります。
DeskMiniで使用する場合は、純正クーラーではなく、高さが少し低い(目安として37mmから40mm程度)社外製の薄型クーラーを別途購入して取り付けることを強くお勧めします。
2.Core Ultra 9とUltra 7は性能が大幅に制限されます
Core Ultra 9 285やUltra 7 265は、基本電力は65Wですが、最大性能を発揮するターボ時には180W前後の大きな電力を消費します。
DeskMiniの電源(ACアダプター)やマザーボードの設計は、これほどの長時間の大電力供給を想定していません。そのため、安全のために厳しい電力制限がかかり、CPU本来の性能の半分程度しか発揮できない状態になります。
高価な上位モデルを選んでも、DeskMiniではその性能を持て余してしまい、コストパフォーマンスが悪くなります。
3.Core Ultra 5が最適なバランスです
DeskMini B860の電力容量や冷却能力を考慮すると、Core Ultra 5 235 または Ultra 5 225 が最もバランスの良い選択肢となります。
これらは最大電力も比較的抑えられており(120W前後)、DeskMiniの環境でも性能を発揮しやすいです。
まとめ
デフォルト(純正クーラー)での取り付けは、冷却と騒音のトラブルになるため避けてください。
構成としては、Core Ultra 5(235または225)を選び、別途、高さの低い社外製CPUクーラーを用意するのが最もトラブルが少なく快適に使える組み合わせです。
Noctua NH-L9i-17xx chromax.black(LGA1851にも対応)
Core Ultra 7 265を使うときの方法は?
これまでの私の記事を読んでいただいた方はわかると思いますが、「ASRock DeskMini B860」をみているとASRockの思い入れがヒシヒシと伝わる素晴らしい小型ベアボーンだと分かります。
そこで、第一候補となるのが、「Intel Core Ultra 7 265」です。
当然ながら、「Intel Core Ultra 7 265」の性能を可能な限り引き出したいという気持ちが出てきます。
DeskMini B860という非常にコンパクトな筐体で、Core Ultra 9や7といったハイエンドCPUの実力を引き出すことは、物理的な制約(冷却と電源)との戦いになります。
スペック通りの100パーセントの性能を常時発揮させることは難しいですが、設定とパーツ選びを工夫することで、実用上のパフォーマンスを最大化し、Core Ultra 5よりも快適な環境を作ることは可能です。
そのための具体的な対策と設定のポイントを3つに分けて解説します。
1.冷却性能の高い社外製クーラーへの交換が必須
デフォルトの純正クーラーでは冷却が追いつかず、すぐに温度制限がかかり性能が落ちてしまいます。
DeskMiniのケースに収まる高さ(47mm以下)の中で、最強クラスの冷却能力を持つクーラーを選んでください。
具体的には、ヒートシンク部分がすべて銅でできている「フルカッパー(Full Copper)」タイプの製品が推奨されます。銅はアルミよりも熱伝導率が高いため、小さなサイズでも効率よく熱を逃がすことができます。
ファンも高回転で風圧の強いものに換装することで、さらに冷却効率が上がります。
これにより、CPUが高負荷で動ける時間を少しでも長く稼ぐことができます。
2.BIOSでの電力制限(パワーリミット)の最適化
これが最も重要な設定です。何もしないとCPUは無制限に電力を求め、すぐに発熱して強制的に速度を落とします。
これを防ぐために、BIOS画面で「PL1(長時間の電力制限)」と「PL2(短時間の電力制限)」を手動で設定します。
おすすめの目安としては、PL1を65W(または冷却に自信があれば80W程度)、PL2を90Wから100W程度に設定することです。
このように上限を決めてあげることで、CPU温度が危険域(100度)に達して急激に性能ダウンする「サーマルスロットリング」を防ぎ、高いクロックを安定して維持できるようになります。
結果として、動画編集などの長い処理でもトータルの処理時間は短くなります。
3.ACアダプターの容量を考慮する
DeskMiniに付属するACアダプターは通常120Wですが、Core Ultra 7や9は瞬間的にそれ以上の電力を必要とします。
USB機器をたくさん繋いでいたり、Wi-Fiを使っていたりすると、システム全体で電力が不足し、パソコンが落ちる可能性があります。
結論として
「Intel Core Ultra 7 265」をDeskMiniで使う場合、「フルカッパー製の高性能薄型クーラー」と「BIOSでの適切な電力制限」の2つを組み合わせれば、安全かつ高性能に運用することは可能です。
Core Ultra 9に関しては、発熱と消費電力がさらに大きいため、DeskMiniの電源回路への負担が大きすぎ、費用対効果が悪くなる可能性が高いです。
やはり第一候補である「Intel Core Ultra 7 265」を、上記のように丁寧に調整して使うのが、ロマンと実用性のバランスが取れた最良の選択肢になります。
Noctua NH-L9I-17XX chromax.blackを使う!
「ASRock DeskMini B860」に取り付けるCPU FANとして、「Noctua NH-L9I-17XX chromax.black」を前提に話を進めます。LGA1851ににも対応しているからです。
Noctua NH-L9i-17xx chromax.black
「Noctua NH-L9I-17XX chromax.black」は、高さ37mmでDeskMiniのケース内に完璧に収まり、静音性も非常に高い素晴らしいクーラーですが、冷却能力(TDP許容値)は物理的に65W程度が限界の設計です。
命を守るBIOS設定・黄金ルール
Intel Core Ultra 9 285 や Core Ultra 7 265 は、基本こそ65Wですが、本気を出すと180W~200W以上の電力を要求します。さらに、DeskMini B860に付属するACアダプターは120Wです。
つまり、「冷却不足」と「電力不足(ACアダプターの容量オーバーによるシャットダウン)」の二重のリスクがあります。
これらを回避し、システムを安定動作させるための「命を守るBIOS設定」は以下の通りです。
BIOS(UEFI)設定項目へのアクセス手順
PCの電源を入れた直後、キーボードの [Delete] キーまたは [F2] キーを連打してBIOS画面に入ってください。
手順 1:アドバンスドモードへの切り替え
画面に入った時、もし簡易的な画面(Ez Mode)が表示されている場合は、画面右上の表示を見るか、キーボードの [F6] キーを押して 「Advanced Mode(アドバンスドモード)」 に切り替えてください。
※最初から黒と青緑っぽい背景の画面であれば、そのままで大丈夫です。
手順 2:OC Tweaker タブを選択
画面上部のメニューバー(タブ)から、矢印キーまたはマウスで以下の項目を選びます。
・OC Tweaker
手順 3:CPU設定メニューに入る
OC Tweaker の中にある、一番上(または上の方)の項目を選びます。
・CPU Configuration
手順 4:電力制限の設定(ここが目的の場所です)
ここを自動(Auto)のままにすると、高負荷時にPCが突然落ちる(ACアダプターの保護回路が働く)可能性が高いです。
CPU Configuration の画面を少し下にスクロールしていくと、以下の項目が見つかります。これらがPL1とPL2の設定箇所です。
1.Long Duration Power Limit
・ここが PL1 です。
・意味: 長時間負荷がかかった時の消費電力上限です。
・設定値: 「Auto」 を選択し、数字の 65 を入力してEnter。
・理由: NH-L9I-17XXが継続的に冷却できる限界がこのあたりです。これ以上上げるとファンが全開でも温度が90℃~100℃に張り付きます。
・※単位は「W (ワット)」です。
2.Long Duration Maintained
・これはPL1を持続する時間(Tau)です。
・設定値: 基本的に 「Auto」 またはデフォルトの 56 秒などでOKですが、熱が心配なら短くしても構いません(例:28秒)。
3.Short Duration Power Limit
・ここが PL2 です。
・意味: ほんの数秒~数十秒だけ許容する瞬発的な電力上限です。
・設定値: 「Auto」 を選択し、数字の 90 を入力してEnter。
・理由: 絶対に100Wを超えないでください。 CPU以外のパーツ(マザーボード、メモリ、SSD、USB機器)で20W程度消費するため、120WのACアダプターでCPUに回せるのは実質100Wが限界です。安全を見るなら90推奨です。
・※ここを絶対に大きくしすぎないようにしてください。ACアダプターが落ちます。
設定後の保存(忘れないでください)
数値を入力し終わったら、以下の手順で保存して再起動します。
1.キーボードの [F10] キーを押す。
2.「Save Changes and Exit?(変更を保存して終了しますか?)」と出るので、 [Yes] を選択してEnter。
これで設定が適用された状態でWindowsが起動します。
※もし項目名が少し違う場合
最新のCore Ultra(Arrow Lake)対応BIOSでは、インテルの新しい用語に合わせて表記が変わっている可能性があります。もし上記が見つからない場合は、以下のような名前を探してください。意味は同じです。
・Processor Base Power (PBP) …… これが PL1 (Long Duration) と同じです。
・Maximum Turbo Power (MTP) …… これが PL2 (Short Duration) と同じです。
Noctuaのファンでも、この設定(PL1=65W / PL2=90W)であれば、DeskMiniの中でCore Ultra 7や9を安全かつ静かに運用できるはずです。
ASRock B860-STX マニュアルで確認する!
念のため、「ASRock DeskMini B860」のマザーボード「B860-STX」のマニュアルで確認します。
マニュアルの38頁の部分を掲載します。赤枠で囲った部分です。
日本語訳は、下のとおりとなります。
Long Duration Power Limit(長時間電力制限 / PL1)
パッケージ電力制限1(PL1)をワット単位で設定できます。この制限値を超えた状態が続くと、一定時間経過後にCPUの動作倍率(クロック)が引き下げられます。
値を低くするとCPUの保護と省電力につながり、値を高くするとパフォーマンスが向上する可能性があります。
※ここを65Wに設定するのがおすすめです。
Long Duration Maintained(長時間制限の維持時間 / Tau)
Long Duration Power Limit(長時間電力制限)を超えてから、実際にCPUの動作倍率が引き下げられるまでの期間(時間)を設定できます。
Short Duration Power Limit(短時間電力制限 / PL2)
パッケージ電力制限2(PL2)をワット単位で設定できます。この制限値を超えると、CPUの動作倍率(クロック)が即座に引き下げられます。
値を低くするとCPUの保護と省電力につながり、値を高くするとパフォーマンスが向上する可能性があります。
※ここを90W程度に設定するのがおすすめです(120W ACアダプターの場合)。
サーマルスロットリングとは?
CPU温度が危険域(100度)に達して急激に性能ダウンする「サーマルスロットリング」という現象があります。
この現象は、パソコン初心者の方でもはっきりと体感できるほど、不快な症状として現れます。
一言でいうと「PCが壊れないように、わざと性能を落としてブレーキをかける状態」のことです。
具体的にどのようなことが起きるのか、初心者の方にもわかりやすい「3つの症状」と「例え話」で解説します。
わかりやすい例え:真夏の全力疾走
CPUを人間に例えるとわかりやすいです。
・通常時: 涼しい部屋で快適に走っています。
・高負荷時: 真夏の炎天下で全力疾走を始めます。体温が急上昇します。
・サーマルスロットリング発動: 体温が危険なほど上がり、「これ以上走ったら倒れる!」と脳が判断して、強制的に歩かせます。これがスロットリングです。
・結果: 足が遅くなります(処理速度が落ちる)。
初心者でもわかる3つの具体的な症状
もし、DeskMini B860にCore Ultra 9や7を入れて冷却不足になると、以下のようなことが起きます。
1. 突然の「カクつき」や「動作の重さ」
最もわかりやすい症状です。
・ゲーム中: さっきまで滑らかに動いていたのに、急に画面がパラパラ漫画のようにカクカクし始めます。少し経って冷えると直り、また熱くなるとカクカクする……を繰り返します。
・動画編集: プレビュー画面がスムーズに再生されず、コマ落ちしたり、マウスの動きが一瞬止まったりします。
・日常操作: ウィンドウを開いたり文字を打ったりするだけでも、「あれ? なんかワンテンポ遅れるな」と感じるようになります。
2. ファンが「離陸しそうな音」を出し続ける
スロットリングが起きる直前、パソコンは必死に冷やそうとします。
・症状: 「ブオーーーン!!」という掃除機のような大きな音が、何分も鳴り止まなくなります。
・DeskMiniのような小さなケースで、Noctuaのような静音ファンを使っていない場合、耳障りなほど高音の風切り音が鳴り続けます。
3. 処理時間が勝手に延びる
これは「遅い」と感じる症状です。
・症状: 例えば「5分で終わるはずの動画の書き出し」が、熱によるスピードダウンのせいで「10分~15分かかる」ようになります。
・せっかく高性能な「Core Ultra 7」を買ったのに、熱のせいで性能が半分に制限され、実質「Core Ultra 3」くらいの速度しか出ていない、という悲しい状態になります。
DeskMiniでの対策まとめ
先ほどの「電力制限(PL1=65W, PL2=90W)」という設定は、この「強制ブレーキ(サーマルスロットリング)」が発動する前に、あらかじめ「安全運転」をさせる設定と言い換えられます。
・制限なし: 全力疾走 → 熱暴走 → 強制ブレーキ(ガクンと遅くなる)の繰り返し。【不快】
・制限あり: 最初から8割の力で走り続ける → 熱くならない → ずっと一定の速度をキープ。【快適】
初心者の方こそ、不快なカクつきや騒音を避けるために、最初のBIOS設定が非常に重要になります。
電力制限のUltra 7と制限なしのUltra 5では?
ここで、疑問に思う人がいると思います。
電力制限(PL1=65W, PL2=90W)の状態を普段から常に使う設定をCore Ultra 9 285、Core Ultra 7 265で行った場合、普段から本来の能力を最大限に活かすことができないので、電力制限を行っていないCore Ultra 5 235の方がトータル的には快適なのでは?
それともCore Ultra 9 285、Core Ultra 7 265の基本性能が、Core Ultra 5 235に比較してすごく良いので、普段から電力制限(PL1=65W, PL2=90W)を行っても、電力制限されたCore Ultra 9 285、Core Ultra 7 265の方が、快適に使えるのか?
ということです。
つまり、「制限をかけるなら、最初から下位モデルを使ったほうが、無理なく動いて結果的に良いのでは?」という疑問です。
しかし、結論からいうと、「たとえ同じ65W/90Wに制限したとしても、Core Ultra 7 265 のほうが、Core Ultra 5 235 よりも性能は高く、快適です」。
なぜ「制限された上位モデル」のほうが強いのか、その理由は主に3つあります。
1. 「エンジンの排気量」が違う(コア数の物理的な差)
車で例えるとわかりやすいです。
・Core Ultra 5 235: 2000ccのエンジン(Pコア6個 + Eコア8個 = 14コア)
・Core Ultra 7 265: 3000ccのエンジン(Pコア8個 + Eコア12個 = 20コア)
65Wという「燃料の量」が同じだとします。
物理的なコア数が多いCore Ultra 7は、一つ一つのコアを無理させず、低い回転数で効率よく回すことができます。
逆にCore Ultra 5は、同じ仕事をこなすために、少ないコアを高回転で回す必要があります。
CPU(半導体)の特性として、「低い電圧・周波数でたくさんのコアを動かすほうが、ワットあたりの性能(電力効率)が良い」という法則があります。そのため、動画編集の書き出しなどの重い作業では、同じ65W制限下でも、コア数の多いCore Ultra 7のほうが処理が速く終わります。
2. 「瞬発力」は制限の影響を受けにくい
普段使いの快適さ(アプリの起動、ウェブブラウザの表示、フォルダを開くなど)は、「シングルコア性能(1つのコアの最高速度)」で決まります。
こうした軽い作業は、そもそも10W~30W程度しか使いません。
・PL1(65W)の制限: 軽い作業ではそもそも65Wに届かないので、制限は発動しません。
・結果: Core Ultra 7が持つ「元々の最大クロックの高さ」や「キャッシュメモリ(L2/L3キャッシュ)の多さ」がそのまま活きます。
つまり、「軽い作業におけるキビキビ感」は、電力制限をしていても上位モデルのCore Ultra 7が圧倒的に上です。
3. 「シリコンの質」が良い
上位モデルであるCore Ultra 9や7には、製造されたチップの中から特に品質の良い(少ない電圧でよく回る)「当たり石」が選別されて使われています。
同じ65Wのエネルギーを与えた場合、品質の良い上位モデルのほうが、より無駄なく性能に変換できる傾向があります。
◎Core Ultra 9 285 についての注意点
ただし、Core Ultra 9 285 に関しては、懸念が少し当てはまります。
Core Ultra 9はCore Ultra 7と比べてコア数は増えますが(Eコアがさらに多い)、65Wという厳しい枠の中に押し込むと、その多すぎるコアを持て余し気味になります。「価格差ほどの性能差が出にくい」という点で、コスパが悪くなります。
結論:どれが「正解」か?
1位:Core Ultra 7 265(制限あり運用)
・評価: 「最高のワットパフォーマンス」
・65W制限下でも、Pコアが8個ある強みと、キャッシュの多さで、動画編集も普段使いも最も高速で快適です。「羊の皮を被った狼」のような、静かで速い理想的なDeskMiniになります。
2位:Core Ultra 5 235(定格運用)
・評価: 「最高のコストパフォーマンス」
・価格が安く、性能も十分です。しかし、動画編集の書き出し時間や、重い処理をした時の粘り強さは、制限ありのUltra 7に劣ります。
3位:Core Ultra 9 285(制限あり運用)
・評価: 「ロマン枠」
・DeskMiniで使うにはオーバースペックです。65W制限下ではUltra 7との差が小さすぎて、価格差の元が取れません。
総評:
予算が許すのであれば、Core Ultra 7 265 を購入し、BIOSでしっかり制限をかけて使うのが、最も満足度が高く、後悔のない選択 になります。
これは「性能を殺している」のではなく、「DeskMiniという小さな筐体に合わせて、贅沢な素材を最適化している」と考えるのが良いでしょう。
第14世代CPUは電力制限が必要?
Core Ultra 7 265に電力制限(PL1=65W, PL2=90W)を行って使用するのが、ASRock DeskMini B860と相性が1番良いと分かりました。
では、第14世代のIntel Core i9 14900、Core i7 14700、Core i5 14500、Core i5 14400 65W無印では、ASRock DeskMini B760と組み合わせてパソコンを作る場合、同様の電力制限(PL1=65W, PL2=90W)は必要ないのか?ということです。
結論からいうと、「第14世代のほうが、電力制限(PL1=65W, PL2=90W)の必要性はさらに高い(必須レベル)」といえます。
特に上位モデル(i9, i7)に関しては、制限をかけないと「まともに動作しない(負荷をかけると電源が落ちる)」可能性が極めて高いです。
その理由と、モデルごとの詳細を解説します。
1. なぜ第14世代のほうが制限が必要なのか?
第14世代のCPUは、Core Ultraシリーズ以上に「電気を大量に消費してパワーを出す」という設計(特性)になっています。
・最大電力(MTP)の壁:
・Core i9-14900 / i7-14700: 本気を出すと 約219W も消費します。
・Core i5-14500: 本気を出すと 約154W 消費します。
・DeskMini B760のACアダプター: 標準で 120W です。
ご覧の通り、どのモデルもACアダプターの限界(120W)を大幅に超えてしまいます。
特にi9やi7は、制限なしでベンチマークなどを回した瞬間、保護回路が働いてPCの電源が「プツン」と切れるリスクがあります。
2. モデル別の推奨設定と挙動
Core i9-14900 / Core i7-14700 の場合
・判定: 電力制限は「絶対に必須」
・理由: 219Wという消費電力は、DeskMiniの電源回路やACアダプターでは完全に許容範囲外です。また、発熱も凄まじいため、Noctuaのような高性能クーラーを使っても、制限なしでは一瞬で100℃に達します。
・設定: PL1=65W / PL2=90W(または厳しく80W) に設定しないと、安心して使えません。
Core i5-14500 / Core i5-14400 の場合
・判定: 電力制限は「強く推奨(ほぼ必須)」
・理由: i9/i7ほどではありませんが、それでも最大154W前後まで上がります。ACアダプター(120W)の容量を超えているため、高負荷時に不安定になる可能性があります。
・設定: PL1=65W はもちろんですが、PL2(瞬発的な電力) をやはり 90W~100W に抑える設定が必要です。これにより、システム全体の消費電力をACアダプターの容量内に収めることができます。
3. Core Ultraとの決定的な違い
実は、Core Ultraシリーズ(Arrow Lake)は「省電力性能」が大幅に進化しています。同じ65W制限下で比較した場合、新しいCore Ultraのほうが低い電圧で効率よく動くため、性能低下の幅が小さく済みます。
一方で、第14世代は「パワーで押し切る」タイプなので、65Wに制限すると、i9やi7はその性能を大きく削がれることになります。
それでも、DeskMini B760で使う以上は、物理的な限界(電源と熱)があるため、「性能を犠牲にしてでも、安定動作させるために制限をかける」という運用が正解になります。
まとめ
DeskMini B760で第14世代を使う場合も、「PL1=65W / PL2=90W」は、PCを安全・快適に使うための「黄金ルール」です。
もしこれから組まれるのであれば、ワットパフォーマンス(電力効率)が良い Core Ultra 7 265 + DeskMini B860 の組み合わせのほうが、制限下での性能も高く、発熱も扱いやすいため、満足度は高いでしょう。
DeskMini B760 + Core i5-14500のBIOS設定画面
上記の内容をもとに、ASRock DeskMini B760 + Core i5-14500の組み合わせで、BIOSの設定を行ってみました。
ASRock B760-STX の構成画面です。
「PL1=65W / PL2=90W」に設定した画面です。
画像右側の白い入力ボックスの数値が、これから適用される設定です。
・Long Duration Power Limit (PL1): 65.000
CPUの定格(65W)通りであり、長時間負荷がかかってもDeskMiniの冷却能力を超えない安全な値です。
・Long Duration Maintained (Tau): Auto (56秒)
・90Wで動く時間を最大56秒許可するという意味です。このままで問題ありません。
・画像の左側(グレーの文字)にある 75.000 という数値は、マザーボードが自動判定した初期値だと思われます。右側に入力された 90.000 が優先されますので気にしなくて大丈夫です。
・Short Duration Power Limit (PL2): 90.000
・i5-14500の本来の最大値(約154W)はACアダプターの限界を超えてしまいますが、これを「90W」に抑えることで、120W電源の容量内に収めつつ、一時的なブースト性能もしっかり味わえる絶妙なラインです。
この設定であれば、突然のシャットダウンに怯えることなく、Core i5-14500の性能(特にシングルスレッドの速さとマルチタスクの余裕)をしっかり享受できます。
要点を整理する(まとめ)
今回は、DeskMini B860でCore Ultra 7や9などの高性能CPUを搭載する際の注意点を確認してきました。
特に、Core Ultra 7 265との組み合わせは、最強のパソコンになるので、ワクワク感ばかりが先行してしまいます。
ただ、最新のDeskMini B860の性能を安全に、そして最大限に引き出すための必須知識は必要です。
1.初心者が忘れがちな最大の罠「120Wの壁」
DeskMiniシリーズには、ノートパソコンのような120WのACアダプターが付属しています。
最新のハイスペックCPUは、カタログ上の基本消費電力が65Wであっても、フルパワーを出すと瞬発的に150Wから200W以上の電力を要求します。もし何も設定せずに動画編集や重い処理を行うと、ACアダプターの電力供給の限界をあっさりと超えてしまい、最悪の場合は作業中にPCの電源が突然落ちてしまいます。
2.恐怖の現象「サーマルスロットリング」
もう一つの罠が「熱」です。
付属の純正クーラーのまま小さなケース内で無理やり動かそうとすると、熱が逃げ場を失い、一瞬でCPU温度が100度近くまで上がります。するとPCは自らが壊れるのを防ぐために、強制的に性能を大幅に落としてブレーキをかけます。これが「サーマルスロットリング」です。
急にマウスの動きがカクカクしたり、ファンが掃除機のような爆音で回り続けたりするのはこれが原因です。高いお金を出して高性能なCPUを買っても、熱のせいで性能が半分しか出ないのでは意味がありませんよね。
3.最適解は「Core Ultra 7 265」+「電力制限」
では、どうすればDeskMiniでハイスペック環境を構築できるのでしょうか。B860における究極のベストバランスは以下の構成です。
・CPUは「Core Ultra 7 265」を選ぶ
Core Ultra 9は発熱が大きすぎてDeskMiniでは性能を持て余してしまい、Core Ultra 5は重い作業で少し物足りなくなります。電力を絞っても、持ち前のコア数の多さと基本性能の高さで圧倒的な快適さを誇るのが、Ultra 7 265なのです。
・高性能な薄型CPUクーラーに交換する
純正クーラーは使わず、高さ47mm以下の高性能クーラー(Noctua NH-L9i-17XXシリーズなど)を別途用意しましょう。冷却効率と静音性が劇的に変わります。
Noctua NH-L9i-17xx chromax.black
・BIOSで「PL1=65W / PL2=90W」に設定する(超重要)
組み立てが終わったら、Windowsを入れる前に必ずBIOS画面を開き、電力制限(Power Limit)をかけます。長時間の制限(PL1)を65Wに、短時間の制限(PL2)を90Wに設定します。
これにより、120WのACアダプターの範囲内で安全に動作しつつ、発熱を抑えてサーマルスロットリングを完全に防ぐことができます。上限を設けても、Ultra 7の基本性能が非常に高いため、普段使いからクリエイティブ作業まで驚くほどサクサク動きます。
まとめ
DeskMiniのような超小型PCでは「ただパーツを組み立てるだけ」ではなく、「ケースの冷却能力と電源の限界に合わせて、設定を最適化する」ことが、本当の性能を引き出す鍵になります。
これからDeskMini B860でPCを組む方は、ぜひこの「PL1=65W / PL2=90W」の黄金ルールを試してみてください。
静かで超高速な、あなただけの最高の相棒が完成するはずです。
ということで、今回は、「ASRock DeskMini B860でCore Ultra 7搭載の最強小型PCを作る!初心者が陥る罠と絶対必要なBIOS設定・黄金ルール」でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回の記事が、皆さんに少しでもお役にたてれば幸いです。
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