こんにちは、トトロ兄さんです。
今回は、ノートパソコンのAMD Ryzen CPUをRyzen 6000から最新Ryzen AI 400まで解説します。
はじめに
パソコンの頭脳とも言えるCPUは、システムの快適さを決定づける最も重要なパーツです。しかし、パソコン初心者の方にとって、複雑なCPUの型番や世代の違いを理解することは、自分に最適な一台を選ぶための大きな壁となっています。特に近年のAMD製モバイルCPUであるノートパソコン向けCPUは、名称のルールや内部の仕組みが大きく変化しており、情報を正しく整理して理解することが求められます。
IntelのCore iやCore Ultraシリーズについては耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、ライバルであるAMDのRyzenシリーズは、特にゲーマーやクリエイター、そしてコストパフォーマンスを重視するユーザーから絶大な支持を集めています。
本記事では、大きな転換点となった2022年のRyzen 6000シリーズから、2026年に発表された最新のRyzen AI 400シリーズまでの変遷、それぞれの特徴、そして具体的な仕様について、専門用語を紐解きながら親切丁寧に解説していきます。公式ホームページを参考にベンチマーク傾向、技術仕様との整合性を確認し、正確な情報としてIntel製品と比較しやすい一覧表にまとめています。
パソコン選びで迷っている方が、Intel製品だけでなくAMD製品の魅力も深く理解し、自信を持って長く使える一台を見つけられるよう、順を追って詳しく見ていきましょう。
AMD Ryzen CPUの基礎知識とIntelとの違い
個別の世代の解説に入る前に、まずはAMDのノートパソコン向けCPUがどのような進化をたどってきたのか、そしてライバルであるIntelとどのような違いがあるのかを分かりやすく解説します。
近年のAMD CPUの進化は、Intelとは異なる独自の戦略で進められてきました。Intelが第12世代から重い作業をするPコアと軽い作業をするEコアという異なる役割を持つコアを組み合わせるハイブリッドアーキテクチャを採用したのに対し、AMDはRyzen 6000シリーズからRyzen 8000シリーズに至るまで、長らくすべてのコアが同じ高い能力を持つという伝統的な設計を維持していました。
その代わり、AMDが強みとして徹底的に注力してきたのが電力効率と内蔵グラフィックスの強化です。薄型軽量のノートパソコンであっても、専用のグラフィックボードを搭載せずに重い3Dゲームや動画編集が快適に行えるよう、自社のRadeonと呼ばれる強力なグラフィックス技術をCPUの内部に組み込んできました。
そして、近年の最大のトレンドであるAIに関しても、AMDは先駆者です。2023年のRyzen 7000シリーズの一部モデルから、世界に先駆けてRyzen AIと呼ばれるAI専用の処理回路であるNPUを搭載し、AI時代の幕開けを力強く牽引しました。
その後、2024年に登場したRyzen AI 300シリーズ、そして2026年登場のRyzen AI 400シリーズにおいて、AMDの戦略はさらに大きな進化を遂げます。長年親しまれてきた世代ごとの数字ルールを刷新し、IntelのCore Ultraに対抗する形でRyzen AIという新しいブランド名へと生まれ変わりました。
この最新世代での最大の特徴は、Intelと同様に標準コアと高効率コアを組み合わせるハイブリッド設計を本格的に採用したことです。重い作業をこなす標準コアと、軽い作業を省電力でこなす高効率コアを賢く使い分けることで、これまで以上の驚異的なバッテリー駆動時間を実現しています。
それでは、各世代の具体的な仕様と性能の目安を示す一覧表を見ながら、それぞれの時代の特徴を深掘りしていきましょう。一覧表内のシングル目安は1つの作業を行う速さ、マルチ目安は複数の作業を並行して行う速さを、Cinebench R23という標準的なテストソフトのスコアで表しています。
CPU選びで知っておきたい基本電力とPROの意味
各世代の解説に入る前に、一覧表を見る上で非常に重要となる2つのポイント、基本電力の幅とPROシリーズについて解説します。
まずは基本電力であるワット数についてです。一覧表を見ると、15Wから30Wのように幅のあるワット数になっているモデルが数多く存在します。これは、ノートパソコンを製造するメーカーが、そのパソコンの冷却性能や設計コンセプトに合わせて、CPUの基準となる消費電力をその範囲で自由に設定できるという意味です。
よって、まったく同じ名前のCPUであっても、組み込まれるパソコンのコンセプトに合わせてメーカー側が電力を調整できる幅となっています。そのため、同じCPUを搭載したパソコンであっても、冷却性能や設定によってベンチマークのスコアが変動しますので、あくまで比較のための目安としてください。
次に、名前にPROと付くモデルについてです。PROシリーズは、企業向けの法人モデルになります。一般向けのモデルと同じ高い処理能力を持ちながら、企業で必要とされる高度なセキュリティ機能や、システム管理者が遠隔でパソコンを管理しやすい機能が追加されています。個人で普通に使う分には一般モデルと性能差はほぼありませんのでご安心ください。
Ryzen 6000シリーズ:グラフィックスとバッテリー革命の世代
2022年に登場したRyzen 6000シリーズは、ノートパソコンにおけるグラフィックス性能とバッテリーの持ちを飛躍的に向上させたことで、業界に大きな衝撃を与えた世代です。
この世代の最大の特徴は、内蔵グラフィックスにRDNA 2という、最新の家庭用ゲーム機にも使われている高度な映像処理技術が採用されたことです。これにより、一般的な薄型ノートパソコンでも、設定を調整すればある程度の3Dゲームが楽しめるレベルへと進化しました。また、製造プロセスが6nmへと微細化されたことで電力効率が大幅に改善され、動画再生で最大29時間 法人向けPROモデルでの実測値 という驚きのバッテリー駆動時間を謳うモデルも登場しました。
ノートパソコン向けのRyzenは、主にパソコンの大きさと発熱のしやすさに合わせて、以下のシリーズに分けられています。HXシリーズおよびHシリーズは基本電力45Wで、ゲーミングノートやクリエイター向けの大型ノートに搭載される、妥協のない性能を最優先したモデルです。HSシリーズは基本電力35Wで、高い性能を持ちながらも少しだけ電力を抑え、薄型の高性能パソコンに搭載しやすくしたバランスモデルです。Uシリーズは基本電力が15Wから28Wで、持ち運びやすさとバッテリーの持ちを最優先した、モバイルノートパソコン向けの省電力モデルとなります。
| シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | 標準コア(Zen) | 高効率コア(Zen c) | 総コア数 | スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| HXシリーズ | Ryzen 9 6980HX | 45W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.0 GHz | 約1550 | 約13500 |
| HXシリーズ | Ryzen 9 6900HX | 45W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.9 GHz | 約1550 | 約13300 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 6980HS | 35W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.0 GHz | 約1550 | 約13000 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 6900HS | 35W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.9 GHz | 約1550 | 約12600 |
| Hシリーズ | Ryzen 9 PRO 6950H | 45W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.9 GHz | 約1550 | 約13300 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 PRO 6950HS | 35W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.9 GHz | 約1550 | 約12600 |
| Hシリーズ | Ryzen 7 6800H | 45W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1500 | 約13000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 6800HS | 35W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1500 | 約12000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 6800U | 15-28W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1450 | 約10000 |
| Hシリーズ | Ryzen 7 PRO 6850H | 45W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1500 | 約13000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 PRO 6850HS | 35W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1500 | 約12000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 PRO 6850U | 15-28W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1450 | 約10000 |
| Zシリーズ | Ryzen 7 PRO 6860Z | 28W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1450 | 約10500 |
| Hシリーズ | Ryzen 5 6600H | 45W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約10000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 6600HS | 35W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約9500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 6600U | 15-28W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約8500 |
| Hシリーズ | Ryzen 5 PRO 6650H | 45W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約10000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 PRO 6650HS | 35W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約9500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 PRO 6650U | 15-28W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約8500 |
なおZシリーズはレノボ専用モデルです。表から分かる通り、Ryzen 6000シリーズはすべてのコアが同じ性能を持つ標準コアのみで構成されています。Intelの同世代は高効率コアを大量に搭載していたため、マルチスコアの数値上はIntelに軍配が上がる場面もありました。しかし、日常的なレスポンスの良さや、内蔵グラフィックスのみでのゲームプレイ、そして電源を抜いた状態でのバッテリーの持ちにおいては、Ryzen 6000シリーズが非常にバランスの良い快適な動作を実現していました。
Ryzen 7000シリーズ:複雑な命名規則と性能の大飛躍
2023年に登場したRyzen 7000シリーズは、パソコン初心者の方にとって少し注意深く型番を見る必要がある世代です。なぜなら、AMDがこの世代からノートパソコン向けCPUの名前の付け方を大きく変更したからです。
これまでは先頭の数字が世代を表していましたが、この世代からは型番の3桁目の数字が、内部の技術の世代を表すようになりました。3桁目が4のモデルは、最新鋭のZen 4アーキテクチャを採用し、Ryzen AIというAI専用回路も搭載した本命の高性能モデルです。3桁目(十の位)が3のモデルは、一世代前の技術を採用したRyzen 6000シリーズの実質的な改良版です。3桁目が2のモデルは、二世代前の技術を採用した、価格を抑えた入門機向けのモデルとなります。
例:Ryzen 5 7640U → 最新の「Zen 4」搭載(高性能)
例:Ryzen 5 7530U → 旧世代の「Zen 3」搭載(コスパ重視)
例:Ryzen 5 7520U → さらに古い「Zen 2」搭載(格安機向け)
つまり、Ryzen 7000シリーズという新しい名前のパソコンであっても、中身は最新の技術から数年前の技術のものまで混在していることになります。これからこの世代の中古パソコンなどを検討する場合は、3桁目の数字が4のものを選ぶことが、後悔しないための重要なポイントとなります。
また、この世代の大きなトピックとして、デスクトップパソコン用の巨大で超強力なCPUをそのままノートパソコンに持ち込んだHXシリーズが登場したことが挙げられます。さらに、薄型向けのHSシリーズやUシリーズでは、AI処理専用のNPUを内蔵したRyzen AIが初めてノートパソコンに搭載され、ビデオ会議の背景ぼかしなどをCPUの負担なしに行えるようになりました。
| シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | 標準コア(Zen) | 高効率コア(Zen c) | 総コア数 | スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| HXシリーズ | Ryzen 9 7945HX3D | 55W+ | 16 | 0 | 16 | 32 | 5.4 GHz | 約1950 | 約33500 |
| HXシリーズ | Ryzen 9 7945HX | 55W | 16 | 0 | 16 | 32 | 5.4 GHz | 約1950 | 約33000 |
| HXシリーズ | Ryzen 9 7845HX | 55W | 12 | 0 | 12 | 24 | 5.2 GHz | 約1900 | 約24000 |
| HXシリーズ | Ryzen 7 7745HX | 55W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1850 | 約18000 |
| HXシリーズ | Ryzen 5 7645HX | 55W | 6 | 0 | 6 | 12 | 5.0 GHz | 約1800 | 約13500 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 7940HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.2 GHz | 約1800 | 約16500 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 PRO 7940HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.2 GHz | 約1800 | 約16500 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 7840HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約16000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 PRO 7840HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約16000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 7640HS | 35-54W | 6 | 0 | 6 | 12 | 5.0 GHz | 約1700 | 約14000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 PRO 7640HS | 35-54W | 6 | 0 | 6 | 12 | 5.0 GHz | 約1700 | 約14000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 7735HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1550 | 約13500 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 7535HS | 35-54W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1450 | 約10000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 7840U | 15-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1700 | 約13000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 PRO 7840U | 15-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1700 | 約13000 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 7640U | 15-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1650 | 約10500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 PRO 7640U | 15-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1650 | 約10500 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 7735U | 15-28W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.7 GHz | 約1500 | 約11500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 7535U | 15-28W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1450 | 約8500 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 7730U | 15W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.5 GHz | 約1450 | 約10000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 PRO 7730U | 15W | 8 | 0 | 8 | 16 | 4.5 GHz | 約1450 | 約10000 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 7530U | 15W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約8500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 PRO 7530U | 15W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.5 GHz | 約1400 | 約8500 |
| Uシリーズ | Ryzen 3 7330U | 15W | 4 | 0 | 4 | 8 | 4.3 GHz | 約1350 | 約5500 |
| Uシリーズ | Ryzen 3 PRO 7330U | 15W | 4 | 0 | 4 | 8 | 4.3 GHz | 約1350 | 約5500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 7520U | 15W | 4 | 0 | 4 | 8 | 4.3 GHz | 約1100 | 約4500 |
| Uシリーズ | Ryzen 3 7320U | 15W | 4 | 0 | 4 | 8 | 4.1 GHz | 約1050 | 約4000 |
表を見ると、最上位のRyzen 9 7945HXなどは16コア32スレッドという途方もないスペックを誇り、マルチスコアが約33000を超えています。これは前世代から2倍以上の圧倒的な進化であり、Intelの最高峰Core i9と真っ向から勝負できる性能です。一方、薄型向けのRyzen 7 7840Uなどもシングルスコアが1700を超え、日常使いのサクサク感が大幅に向上していることがわかります。
Ryzen 8000シリーズ:AI性能を研ぎ澄ませた熟成の世代
2024年に登場したRyzen 8000シリーズは、前世代で大成功を収めたRyzen 7000シリーズのZen 4モデルをベースに、AIの処理能力をさらに強化した熟成の世代となります。
CPUの純粋な計算力や内蔵グラフィックスの性能は、前世代の7040シリーズとほぼ同じ構造を引き継いでいます。しかし、この世代における最大の進化は、AI専用回路であるNPUの性能が大幅に引き上げられた点にあります。NPUの処理能力を示すTOPSという数値が、前世代の10 TOPSから16 TOPSへと約1.6倍に向上しました。
このAI性能の向上は、これからのパソコンの使い方において非常に重要です。ビデオ会議のカメラの自動追尾や高度な背景ぼかし、動画編集ソフトのAI自動処理などが、CPUやグラフィックスに負担をかけることなく、高速かつ省電力で実行できるようになりました。
パソコンのラインナップとしては、主に性能と薄さのバランスを取ったHSシリーズと、持ち運びを重視した省電力なUシリーズが展開されました。
| シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | 標準コア(Zen) | 高効率コア(Zen c) | 総コア数 | スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| HSシリーズ | Ryzen 9 8945HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.2 GHz | 約1850 | 約16500 |
| HSシリーズ | Ryzen 9 PRO 8945HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.2 GHz | 約1850 | 約16500 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 8845HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1800 | 約16000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 PRO 8845HS | 35-54W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1800 | 約16000 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 8840HS | 20-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約15500 |
| HSシリーズ | Ryzen 7 PRO 8840HS | 20-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約15500 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 8645HS | 35-54W | 6 | 0 | 6 | 12 | 5.0 GHz | 約1750 | 約11000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 PRO 8645HS | 35-54W | 6 | 0 | 6 | 12 | 5.0 GHz | 約1750 | 約11000 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 8640HS | 20-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1700 | 約10800 |
| HSシリーズ | Ryzen 5 PRO 8640HS | 20-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1700 | 約10800 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 8840U | 15-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約13000 |
| Uシリーズ | Ryzen 7 PRO 8840U | 15-30W | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1750 | 約13000 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 8640U | 15-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1700 | 約10500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 PRO 8640U | 15-30W | 6 | 0 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1700 | 約10500 |
| Uシリーズ | Ryzen 5 8540U | 15-30W | 2 | 4 | 6 | 12 | 4.9 GHz | 約1650 | 約10000 |
| Uシリーズ | Ryzen 3 8440U | 15-30W | 1 | 3 | 4 | 8 | 4.7 GHz | 約1600 | 約6500 |
Ryzen 5 8540Uなど、一部の下位モデルは価格を抑えるためにAI処理用のNPUが搭載されていない点に注意が必要です。純粋な計算力は前世代から劇的に上がったわけではありませんが、動作が非常に安定しており、発熱と性能のバランスが極めて優秀なCPUとして、多くのノートパソコンに採用され続けています。
Ryzen AI 300シリーズ:名前も中身も一新された革命的世代
2024年6月のComputexで大々的に発表され、同年7月から発売が始まったRyzen AI 300シリーズは、AMDのモバイルCPUの歴史において、最もエキサイティングで革新的なマイルストーンとなる世代です。この世代から、長らく続いたRyzen 7000や8000といった数字メインのブランド名がリセットされ、本格的なAIの時代を象徴するRyzen AIという名称へと完全に生まれ変わりました。
この世代の進化のポイントは、パソコン初心者の方にとっても非常に恩恵が大きいものです。主な革新ポイントは以下の3点に集約されます。
第一に、大小のコアを使い分けるハイブリッドアーキテクチャが本格的に導入されました。処理能力を極限まで高めた標準コアと、少し小さくて省電力な高効率コアを組み合わせる設計が採用されています。これにより、最大12コア24スレッドという高い処理能力で重い作業をこなしつつ、ネット閲覧のような軽い作業の時は高効率コアだけを動かすことで、バッテリーの消費を極限まで抑えることが可能になりました。
第二に、圧倒的なAI処理能力の獲得です。最新のXDNA 2と呼ばれるNPUを搭載し、AI専用の処理能力が一気に前世代の3倍以上となる50 TOPSへと跳ね上がりました。これにより、次世代AIパソコンの厳しい基準であるCopilot+ PCの要件をクリアし、パソコン単体で高度なAIをサクサク動かすことができます。
第三に、Strix Haloと呼ばれる化け物クラスのグラフィックスモデルの登場です。薄型軽量ノート向けのモデルに加え、一部の本格的なクリエイターやゲーマー向けにRyzen AI Maxシリーズが追加されました。これは、CPUの中に通常では考えられないほど巨大なグラフィックス回路を内蔵しており、専用のグラフィックボードがなくても、高性能デスクトップパソコンに匹敵する映像処理を行うことができる革命的なモデルです。
また、一覧表を見ると、薄型軽量向けの基本電力が28Wという単一の数値になっていることにお気づきでしょうか。これは、AI処理やハイブリッド設計の性能をどのパソコンでも安定して発揮させるために、AMDが電力の基準を明確化したためです。さらに、高性能なMaxシリーズの55W+というプラス付きの表記は、55Wを最低基準としつつ、ノートパソコンの冷却性能が許す限りさらに高い電力を供給して、限界までグラフィックス性能などを引き出せるクラスのモデルであることを意味しています。
以下がRyzen AI 300シリーズの仕様一覧です。シングルスコアが2000の大台を超え、日常使いのサクサク感がさらに増していることが確認できます。
| シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | 標準コア(Zen 5) | 高効率コア(Zen 5c) | 総コア数 | スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max+ 395 | 55W+ | 16 | 0 | 16 | 32 | 5.1 GHz | 約2150 | 約32000 |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max 390 | 55W+ | 12 | 0 | 12 | 24 | 5.0 GHz | 約2100 | 約25000 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX PRO 375 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.1 GHz | 約2050 | 約23500 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX 375 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.1 GHz | 約2050 | 約23500 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX PRO 370 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.1 GHz | 約2000 | 約23300 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX 370 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.1 GHz | 約2000 | 約23300 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 9 365 | 28W | 4 | 6 | 10 | 20 | 5.0 GHz | 約1950 | 約19000 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 PRO 360 | 28W | 3 | 5 | 8 | 16 | 5.0 GHz | 約1950 | 約13800 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 350 | 28W | 4 | 4 | 8 | 16 | 4.9 GHz | 約1900 | 約16000 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 5 340 | 28W | 2 | 4 | 6 | 12 | 4.8 GHz | 約1850 | 約12000 |
Ryzen AI Maxシリーズは、妥協のない性能を発揮するため、すべてのコアが高性能な標準コアで構成されており、圧倒的なパワーを誇ります。
最新Ryzen AI 400シリーズ:完成度を極めた2026年モデル
2026年の年明けに正式に発表されたのが、最新のRyzen AI 400シリーズです。
この世代は、劇的な構造変化をもたらした前世代のRyzen AI 300シリーズの設計をベースに、さらに磨きをかけた完成版という位置づけになります。内部のCPUコアや内蔵グラフィックスの基本的なアーキテクチャはそのまま引き継いでいますが、細部のチューニングにより、各モデルの動作周波数が引き上げられ、全体の処理テンポがより速くなりました。
さらに注目すべき改善点として、より高速なメモリに対応したことが挙げられます。メモリが高速になると、特に内蔵グラフィックスの性能が引き出されやすくなるため、ゲームや動画編集での快適さが底上げされます。また、AI処理を担うNPUの性能もさらに強化され、最上位モデルでは60 TOPSという極めて高い数値を叩き出しています。これにより、今後さらに重くなることが予想されるローカルの生成AIソフトなどを、パソコン内部だけでよりスムーズに処理できるようになっています。
ラインナップの幅も広がり、最上位のHXシリーズから手頃な価格帯のAI 5シリーズまで、ユーザーの用途に合わせて選びやすい構成に整理されました。
Ryzen AI 400シリーズの仕様一覧は以下の通りです。基本電力が28Wという薄型ノート向けの省電力枠でありながら、マルチスコアが24000に迫るなど、電力あたりの性能が極めて高い次元で安定していることがわかります。
| シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | 標準コア(Zen 5) | 高効率コア(Zen 5c) | 総コア数 | スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max+ 495 | 55W+ | 16 | 0 | 16 | 32 | 5.2 GHz | 約2200 | 約33000 |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max+ 492 | 55W+ | 12 | 0 | 12 | 24 | 5.0 GHz | 約2150 | 約25500 |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max 490 | 55W+ | 12 | 0 | 12 | 24 | 5.0 GHz | 約2150 | 約25500 |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max+ 488 | 55W+ | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.0 GHz | 約2050 | 約17500 |
| Max(高性能) | Ryzen AI Max 485 | 55W+ | 8 | 0 | 8 | 16 | 5.0 GHz | 約2050 | 約17500 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX PRO 475 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.3 GHz | 約2100 | 約24000 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX 475 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.3 GHz | 約2100 | 約24000 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX PRO 470 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.2 GHz | 約2050 | 約23500 |
| HXシリーズ | Ryzen AI 9 HX 470 | 28W | 4 | 8 | 12 | 24 | 5.2 GHz | 約2050 | 約23500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 9 PRO 465 | 28W | 4 | 6 | 10 | 20 | 5.1 GHz | 約2000 | 約19500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 9 465 | 28W | 4 | 6 | 10 | 20 | 5.1 GHz | 約2000 | 約19500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 PRO 450 | 28W | 4 | 4 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1950 | 約16500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 450 | 28W | 4 | 4 | 8 | 16 | 5.1 GHz | 約1950 | 約16500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 PRO 445 | 28W | 2 | 4 | 6 | 12 | 4.6 GHz | 約1850 | 約12500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 7 445 | 28W | 2 | 4 | 6 | 12 | 4.6 GHz | 約1850 | 約12500 |
| 薄型軽量向け | Ryzen AI 5 430 | 28W | 1 | 3 | 4 | 8 | 4.5 GHz | 約1800 | 約8500 |
同年に発表されたIntelの最新CPUであるCore Ultra 300シリーズと比較しても、AMDはマルチタスク処理やクリエイティブ作業、そしてゲーム性能において高い競争力を維持しており、2026年のノートパソコン市場において非常に魅力的な選択肢となっています。
コストパフォーマンスに優れたRyzen 200とCore 200シリーズ
ここまで最新のAI機能を搭載した最上位モデルを解説してきましたが、実はAMDもIntelも、最新モデルと同時に予算を抑えたメインストリーム向けのシリーズを展開しています。それがAMD Ryzen 200シリーズとIntel Core 200シリーズです。
これらは、超高性能なAI処理回路であるNPUこそ搭載していませんが、これまでの世代で熟成された信頼性の高い技術をそのままリフレッシュして採用しています。最新の高度なAI機能はそれほど重視しないけれど、エクセルやワードなどの事務作業、インターネット閲覧、動画視聴といった日常使いをサクサク快適にこなしたい、そして何より価格を抑えたいという方にとって、これらは非常に賢い選択肢となります。
| メーカー/シリーズ | プロセッサー名 | 基本電力 | コア/スレッド数 | 最大クロック | シングル(目安) | マルチ(目安) |
| AMD (HS相当) | Ryzen 9 270 | 35-54W | 8C/16T | 5.2 GHz | 約1850 | 約16500 |
| AMD (HS相当) | Ryzen 7 260 | 35-54W | 8C/16T | 5.1 GHz | 約1800 | 約16000 |
| AMD (U相当) | Ryzen 7 250 | 15-30W | 8C/16T | 5.1 GHz | 約1750 | 約13000 |
| AMD (HS相当) | Ryzen 5 240 | 35-54W | 6C/12T | 5.0 GHz | 約1750 | 約11000 |
| AMD (U相当) | Ryzen 5 230 | 15-30W | 6C/12T | 4.9 GHz | 約1700 | 約10500 |
| AMD (U相当) | Ryzen 5 220 | 15-30W | 6C/12T | 4.9 GHz | 約1650 | 約10000 |
| AMD (U相当) | Ryzen 3 210 | 15-30W | 4C/8T | 4.7 GHz | 約1600 | 約6500 |
| Intel (Hシリーズ) | Core 7 250H | 45W | 10C/16T (6P+4E) | 5.2 GHz | 約1800 | 約15000 |
| Intel (Uシリーズ) | Core 7 250U | 15W | 10C/12T (2P+8E) | 5.4 GHz | 約1800 | 約10000 |
| Intel (Hシリーズ) | Core 5 220H | 45W | 8C/12T (4P+4E) | 4.9 GHz | 約1700 | 約12000 |
| Intel (Uシリーズ) | Core 5 220U | 15W | 10C/12T (2P+8E) | 5.0 GHz | 約1750 | 約9000 |
| Intel (Uシリーズ) | Core 3 200U | 15W | 6C/8T (2P+4E) | 4.7 GHz | 約1650 | 約6500 |
表を見ると、AMDのRyzen 200シリーズもIntelのCore 200シリーズも、普段使いには十分すぎるほどのスコアを叩き出していることがわかります。お財布に優しく、かつ実用的なノートパソコンを探している方にはぴったりの存在です。
まとめ:用途に合わせて、長く付き合える最適な一台を
ここまで、AMDのRyzen 6000シリーズから最新の2026年モデルまで、そしてコストパフォーマンスに優れた200シリーズの変遷を詳細に解説してきました。AMDのノートパソコン向けCPUは、一貫して内蔵グラフィックスの強さとバッテリーの持ちを武器に、Intelとは異なる独自のアプローチで進化を続けてきました。
もしこれからノートパソコンを購入し、数年間メインの機材として快適に長く使い続けたいのであれば、結論としてRyzen AIと名前の付く最新シリーズを選ぶことが最も賢明な選択と言えます。その最大の理由は、やはりAI専用処理ユニットであるNPUの圧倒的な性能と、大小コアのハイブリッド化による電力効率の良さです。現在のWindowsや各種ソフトウェアは、急速にAIを活用した機能を追加しています。古い世代のCPUでも力任せにAI機能自体は動かせますが、それはパソコン全体の動作を重くし、バッテリーをみるみる減らしてしまう原因となります。しかし、50 TOPS以上のNPUを備えたRyzen AI 300シリーズや400シリーズであれば、この重いAI処理を専用のNPUが効率的に肩代わりしてくれるため、他の作業を邪魔することなく、快適にパソコンを使い続けることができます。また、高効率コアのおかげで、外出先で長時間作業をする際にもバッテリー残量を気にしすぎる必要がありません。
一方で、予算を少しでも抑えたい、最新のAI機能は不要だが日常の作業や軽めのゲームをサクサクこなしたいという方であれば、今回ご紹介したAMDのRyzen 200シリーズやIntelのCore 200シリーズ、あるいは価格がこなれてきているRyzen 8000シリーズやRyzen 7040シリーズなどを選ぶのが、非常に満足度の高い選択肢となります。
IntelのCore Ultraシリーズが万人向けの優等生であるならば、AMDのRyzen AIシリーズは、グラフィックス性能とAI性能に特化した頼れる実力派と言えます。パソコン選びは決して安い買い物ではありません。ご自身の用途と予算に合わせて、本記事の解説や各世代の仕様一覧表を目安にしながら、数年後も後悔のない、自分にぴったりのノートパソコンを選んでいただければ幸いです。
ということで、今回は、「ノートパソコン向けAMD Ryzen CPUの歴史と選び方 Ryzen 6000から最新Ryzen AI 400シリーズまで完全解説」でした。
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